訪問診療看護師の仕事内容はきつい?300人規模を少人数で回した業務の実態

訪問診療看護師の仕事内容はきつい?300人規模を少人数で回した業務の実態

「訪問診療の看護師ってどんな仕事?」と聞かれたとき、私はいつも正直に話します。「思っているよりずっとハードです」と。

私は訪問看護師として働いていた時期があり、その経験の中で訪問診療のチームと関わることが多くありました。そこで在宅医療の現場に興味が生まれ、「今度は訪問診療側から在宅を支えてみたい」という気持ちで、訪問診療クリニックへ転職したんです。

給料や勤務条件も確認して、「ここならいいかもしれない」と思っていました。でも、実際に働いてみたら、求人票には書かれていない現実がありました。この記事では、私が実際に経験した300人規模の在宅・施設患者を抱える訪問診療クリニックの業務の実態を、できるだけ具体的にお伝えします。

職場の基本体制

看護師は5人前後。担当する患者は在宅・施設合わせて約300人規模。医師数名とこの人数でクリニック全体を回していました。

数字だけ見ると「そこまで多くない?」と感じるかもしれませんが、在宅・施設の患者さんはそれぞれ背景が違い、状態も日々変わります。一人ひとりの処置や薬・データを把握しながら、電話や急変にも対応する。それを少人数で担う密度は、病棟のそれとはまた違う重さがあります。

1日の流れ(実態)

出勤直後〜午前

出勤すると同時に電話が鳴り始めます。施設からの状態報告、家族からの相談、薬局からの連絡、前日オンコール対応の引き継ぎ。それらをこなしながら、医師への報告と指示受けを並行します。

急変や状態変化があれば、その場でスケジュールを組み直す。「今日の訪問順序を変えられるか」「誰が対応に行けるか」。こういう判断が午前中から次々と入ってきます。

訪問業務

看護師が運転して訪問先を回ることもありました。1日に関与する訪問は20〜40件規模。診察介助、採血、処置、バイタル確認、記録。これを訪問先ごとにこなしていきます。

一件一件が「前回と状態が違う」「このデータをどう見るか」「医師に報告が必要か」という判断の積み重ねです。体を動かしながら、頭をフル回転させている感覚がずっと続きます。

昼休憩(名ばかりの)

「昼休憩」の時間になっても電話は止まりません。追加訪問の依頼が入ることもあり、ご飯を10分でかきこんでそのまま次の対応に移ることが普通でした。ゆっくり座って食べることができる日のほうが少なかったと思います。

午後〜夕方

訪問から戻ればカルテ記録。急変があれば緊急往診の調整。16〜17時にいったん終わりそうになっても、そこから追加の対応が入り、18時前後までバタバタすることが日常でした。

私には3人の子供がいます。保育園のお迎えがあるので18時には出なければいけない。でも「帰っていいよ」とは言われない雰囲気の中で、申し訳なさそうに「お先に失礼します」と言って出る毎日でした。それが地味に、でも確実に心を削っていました。

電話対応の実態

1日の電話対応は20〜30件以上。一本一本が単なる「取り次ぎ」ではなく、「医師への報告が必要か」「施設・家族への折り返しが必要か」「訪問スケジュールを変更するか」という医療的・業務的な判断を伴います。

電話を受けながら記録し、医師に報告し、施設に折り返し、訪問調整を更新す流。これを並行してこなすことが当たり前でした。「落ち着いて考える」という時間がほとんどない中で、判断し続けることの消耗感は、体験してみないとなかなか伝わりません。

オンコールの実態

平日は週1〜2回、加えて月1回以上の週末(金土日)オンコールがありました。夜間の急変対応、施設からの深夜電話、死亡確認、対応内容は日によって全く違います。

30分で終わる日もあれば、何時間も対応が続く夜もある。でも翌朝には通常出勤です。眠れていない状態でまた電話が鳴る朝。体が回復しないまま、また一日が始まる。このサイクルが続いたとき、私は初めて「これは体の問題じゃなく、構造の問題だ」と感じました。

子育てしながら働くことへの限界

当時、私には3人の子供がいました。夫は平日の協力がほとんどない中で、仕事・家事・育児を全部回していました。

帰宅後も、仕事が「終わり」になるわけではありません。子どもの話を聞いて、提出物を確認して、夕飯を作って、お風呂に入れて。オンコール当番の日は、それをしながら「夜に電話が来るかもしれない」という緊張を抱えたまま眠ります。

そのうち、子どもが「今日学校でね」と話しかけてきても、うわの空で聞いていることが増えました。プリントの提出期限を忘れて、学校から連絡が来ることもありました。「ちゃんとしなきゃ」と思うほど、自分を追い詰めていた気がします。

私はその時、かなり感情を押し殺して働いていたと思います。「しんどい」と感じながらも、「自分が弱いだけ」「もう少し慣れれば大丈夫」と言い聞かせて、結局1年ほど続けました。

この経験から学んだこと

辞めてから、改めて振り返ると、問題は「私が弱かったから」ではありませんでした。自分の条件を整理しないまま、「仕事内容への興味」と「給料・勤務時間の表面的な条件」だけで決めたことが原因でした。

訪問診療で得たものは確かにあります。採血の速さと正確さ、急変時に状況を見て動く力、医師・施設・家族との多職種コミュニケーション。終末期ケア専門士の資格を取ったことも含め、在宅医療に深く関わった経験は今でも財産です。

でも同時に、「給料に見合っているか」「この働き方は自分の生活と両立できるか」を事前に確認できていなかったことへの後悔も残りました。訪問診療の給料は、あれほど過酷だった割にそれほど高くなかった。がんばりが給料に反映されにくい構造も、じわじわと疲弊の原因になっていました。

転職を考えているあなたへ|入職前に確認すべきこと

訪問診療という仕事そのものが「合わない」のではなく、「体制次第でここまで消耗する」というのが私の実感です。訪問診療への転職を考えている方に、入職前に確認してほしいことをまとめます。

  • 看護師1人あたりの担当患者数はどのくらいか(300人以上を5人以下で回すのはかなりきつい)
  • 1日の電話対応件数の目安(把握していない職場は要注意)
  • 昼休憩は実際に取れているか(見学時にスタッフに直接聞く)
  • オンコールの頻度と夜間対応の実態(「月数回程度」は曖昧。具体的な回数を確認)
  • 医師の人柄と職場の雰囲気(小規模なほど院長の影響が大きい)
  • 子育て中のスタッフは実際にいるか(「います」だけでなく、どう働いているか聞く)
  • 定時に帰れている人はいるか(「基本的に帰れます」という回答を鵜呑みにしない)

求人票に書いてある内容よりも、こういった「書かれていない実態」を確認することのほうが、転職後の満足度に直結します。

まとめ

訪問診療の看護師業務は、求人票からは想像できないほどの密度があります。300人規模を少人数で回す体制の実態を知った上で、「自分の生活と両立できるか」を慎重に見極めてから転職を決めてください。

私が後悔したのは「訪問診療を選んだこと」ではなく、「体制の実態を確認しないまま決めたこと」です。その反省が、今の私がブログを書く原点になっています。

「今の常勤がきついから辞めたい」「でも、どう動けばいいかわからない」と悩んでいる方は、まずはご自身の働き方の「ズレ」を見つけることから始めてみませんか。

公式LINEでは、私が何度も転職を失敗した経験から作った「働き方見える化ノート(無料PDF)」をお配りしています。転職活動を始める前に、まずは自分のペースを取り戻すための整理に使ってみてくださいね。

LINE登録にはまだ抵抗がある方は、ブログ内にも「看護師が『働き方を見直す方法』〜自分のペースを見つける5つの整理ワーク〜」で同じ内容の記事を書いています。

公式LINEから無料PDFプレゼント

👇LINE登録にはまだ抵抗がある方は、ブログ内にも「看護師が『働き方を見直す方法』〜自分のペースを見つける5つの整理ワーク〜」で同じ内容の記事を書いています。

読んで理解したい人(ブログ記事)」「書いて理解したい人(公式LINE無料PDF)」、今の自分に合った方法で取り組んでみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA