転勤族の看護師として18年働いてきた私のキャリアは、決して一本道ではありませんでした。
沖縄・福岡・兵庫・東京・名古屋・大阪——引越しのたびに仕事を探し直し、何度も転職を繰り返してきました。この記事では、私がどのような道のりを経て、今の「働き方シフト」という考え方にたどり着いたかをお伝えします。
新卒からのスタート:急性期病院での洗礼

福岡の急性期病院で新卒として働き始めたとき、仕事を覚えるだけで必死でした。3交代制の過酷な勤務、厳しい人間関係、日勤終わりから深夜勤まで4時間しかない日もありました。不眠症になって睡眠薬を飲む同僚、夜勤明けにビールを飲んで眠ろうとする自分——「看護師として頑張りたい」気持ちと、「体力的・精神的に限界」という現実が同時にありました。
転勤族としての転職の繰り返し

結婚・転勤を機に、私のキャリアは大きく変わりました。尼崎での消化器内科クリニック、透析クリニックでの約4年間——透析では穿刺技術と専門知識を深め、「専門性を持つことの意味」を初めて実感しました。でも転勤のたびに、また一から職場を探す繰り返しでした。
最大の失敗:訪問診療での転職

訪問看護を経て転職した訪問診療クリニックは、「給与・仕事内容への興味・少しの憧れ」だけで決めた転職でした。結果は、業務量・電話対応・オンコール・職場の空気——すべてが想定外で、1年間感情を押し殺して働きました。
でも今、振り返って正直に言えることがあります。あの転職の失敗は、職場のせいでも、私の能力のせいでもなかった。問題は、私が転職を決める前に「自分に何が必要で、何が無理なのか」を一度も整理していなかったことでした。
オンコールが生活に与える負荷は、頭ではわかっていた。子どもがいる中で深夜対応が続けばどうなるかも、少し考えれば予測できたはずです。でも私はそれを「条件」として扱っていなかった。給与と興味と憧れだけを見て、「自分の生活と何が合わないか」という問いを、一度も自分に向けていなかった。
なぜ整理できなかったのか。
一つは、整理するという発想自体がなかったからです。転職は「今の職場から逃げるか、踏みとどまるか」という二択で考えていて、「次の職場が自分に合うかどうかを事前に検証する」という視点がそもそもありませんでした。
もう一つは、「なんとなくいけるだろう」という根拠のない自信です。看護師として経験を積んできた自負があったし、新しい環境への適応力には自信があった。でもそれは「慣れる力」であって、「合わない環境でも消耗しない力」とは全然違う話でした。
そして最も大きかったのは、自分の「譲れない条件」を言葉にしたことが一度もなかったことです。何が嫌で、何があれば続けられて、何があったら絶対に無理なのか——それをリストにするどころか、頭の中で整理したことすらなかった。条件が言語化されていないまま動けば、比較のしようがない。「なんとなく良さそう」以外の判断軸が持てないのは当然でした。
この経験が、私に一番大きな気づきをくれました。
「問題は私が弱いからじゃない。自分の条件を整理しないまま決めたから」
感情だけで転職を決めてはいけない。でも感情を無視しろということでもない。自分の優先順位と条件を言語化して初めて、比較ができる。選択ができる。そして、選んだことへの納得感が生まれる。
あの1年間の消耗は、私がその順番を踏んでいなかった結果でした。
今の働き方にたどり着くまで

小児科クリニックへの転職は、それまでの転職とひとつだけ決定的に違うことがありました。求人を見る前に、条件を書き出した。
やったことはシンプルです。紙を一枚用意して、「絶対に譲れないもの」「できれば避けたいもの」「我慢できるもの」の3列に分けて書いただけ。でも、それまでの転職でこれを一度もやっていなかった。
「絶対に譲れない」列に書いたのは4つでした。
- オンコールなし
- 子どもの急な発熱に対応してもらえる職場文化
- 明るいうちに帰れる勤務時間
- 週1回以上、平日に休める曜日設定
「我慢できる」列には、給与を書きました。希望額の横に、「他の条件が揃っていれば、〇万円まで下げられる」 と数字で書き添えた。
そう書いた瞬間、少し手が止まりました。給与を「下げていい条件」として紙に書くのは、思ったより怖かった。でも同時に、訪問診療での1年間が教えてくれたことがありました。
あの職場の給与は、決して高くなかった。過酷な業務量・電話対応・オンコールをこなしても、手取りに劇的な差があるわけじゃない。そもそも日本の看護師の給与構造は、夜勤をたくさん入れなければ上がりにくい仕組みになっています。どれだけ一生懸命動いても、頑張りが給与に反映されにくい。それは個人の問題じゃなく、業界全体の構造的な問題です。
その現実を知ったとき、「給与を上げるために消耗し続ける」という選択が、急に虚しくなりました。
子育てをしながら、家のことをしながら、看護師としても全力で—それができる人もいると思います。でも私には限度がありました。体力にも、気力にも、時間にも。過度な業務量と家庭を両立し続けることは、私にはできなかった。そしてもっと正直に言うと、たとえできたとしても、そういう働き方は選びたくなかった。
これは弱さじゃないと、今は思っています。自分の限界を知ることと、自分が望む生活を守ることは、まったく別の話だから。
だから問い直しました。「私は何のために働いているのか」。
お金は必要です。でも私が本当に守りたかったのは、子どもとの時間であり、自分が壊れない体力であり、夫との関係でした。それを守れない高さの給与に、どれだけの意味があるのか。
そう整理したとき、給与を下げる決断への迷いが、すっと消えました。怖くなくなったわけじゃない。でも、「これは後退じゃなく、優先順位を正しく並べ直しただけだ」 という感覚が、はっきり持てました。
転職後の生活は、数字では測れない部分で変わりました。一番変わったのは、子どもの話を「ちゃんと聞ける」ようになったことです。以前も、話は聞いていました。でも頭の中は、翌日の訪問件数やオンコールのことを考えていた。体は家にいても、気持ちはずっと仕事の中にいた。
今は違います。「今日ね、学校でね」と話しかけてくる声に、ちゃんとそこにいられる。それだけのことなのに、「生活している」という感覚がまるで違う。
明るいうちに帰れるようになって、夕方の時間が戻ってきました。以前は、夕飯を作りながら「また明日も同じだ」と思っていた。今は、その時間が普通にある。「普通」が戻ってきたことの大きさを、失って初めて知りました。
夫へのイライラも、はっきり減りました。余裕がないとき、人は一番近くにいる人に当たります。当時それが夫でした。でもあのイライラの正体は、夫への不満じゃなかった。疲労と、先の見えなさと、「誰も助けてくれない」という孤立感でした。職場が変わって、それが解消された。夫は何も変わっていないのに、関係が変わった。
そして、副業に向き合える余裕が生まれた。帰宅後に気力がゼロだった頃は、「やりたいことがある」と思いながら何もできない自分への自己嫌悪だけが積み重なっていました。今は、子どもが寝た後に1〜2時間、自分のコンテンツに向き合えます。小さい時間ですが、このブログも、Instagramも、PDFも、その積み重ねから生まれています。
これが私の「働き方シフト」です。大きく稼ぎ始めた話でも、すごい転職をした話でもない。「自分が消耗しない場所を、条件を整理して選んだ」——それだけのことが、生活全体を変えたという話です。
「働き方シフト」とは何か

「働き方シフト」とは何か
私が言う「働き方シフト」とは、単なる転職のことではありません。もう少し正確に言うと、こういうことです。
「仕事と生活の優先順位を、自分で整理し直す。そして、自分に合う働き方に、少しずつ近づけていく」その過程全体のことを、私は「働き方シフト」と呼んでいます。
「シフト」という言葉を使っているのは、一気に変わるイメージを持ってほしくないからです。シフトは、少しずつ動くことです。ギアを一段変えるように、今の場所から自分に合う方向へ、少しだけ動く。その積み重ねが、気づいたら生活全体を変えている、そういうイメージです。
転職しなくても「働き方シフト」はできます。勤務日数を変えること、夜勤の回数を減らすこと、副業という選択肢を加えること。形はひとつじゃない。大事なのは、「自分が何を優先するか」を先に決めて、その方向に動くという順番です。
ただ、その「順番を変える」ことが、看護師には難しかったりします。看護師は、真面目な人が多い職業です。患者さんのために動くことが当たり前で、多少しんどくても「自分が慣れればいい」と思える。
チームに迷惑をかけたくなくて残業する。子育てと仕事の両立がきつくなっても、「看護師なんだから」と踏ん張れる。その真面目さは、間違いなく強みです。
でも同時に、その真面目さが「自分のことは後回し」という習慣につながりやすい。気づいたら、自分の優先順位が一番下になっている。そういうことが、看護師には起こりやすい。
私自身がそうでした。「しんどい」と感じるたびに「まだいける」と言い聞かせて、本当のサインを何度も見逃してきました。それは弱さじゃなかった。ただ、自分を後回しにすることに、慣れすぎていただけでした。
でも、ここからが大事なところです。気づいた瞬間から、変えられます。
完璧に合う職場じゃなくていい。大きな決断じゃなくていい。一歩近づくだけで、生活は本当に変わります。オンコールがなくなっただけで、夜の眠り方が変わる。
定時に帰れるようになっただけで、子どもとの夕食の空気が変わる。平日に1日休めるようになっただけで、自分のための時間が生まれる。
私が経験したのも、そういう変化でした。転職後に劇的な何かが起きたわけじゃない。ただ、「普通の夕方」が戻ってきた。子どもの話をちゃんと聞ける自分が戻ってきた。副業に向き合う気力が生まれた。
小さな変化が重なって、気づいたら生活の土台が変わっていました。土台が変わると、その上に乗っているものが全部変わります。仕事への向き合い方も、家族との関係も、自分が自分を好きでいられるかどうかも。
一歩でいい。
今の場所から、自分に合う方向に、ほんの一歩近づくだけでいい。その一歩がどこにあるのかを一緒に考えること。それがこのブログの目的です。自分の優先順位を整理して、自分に合う場所を選ぶことは、逃げでも妥協でもありません。「こう生きたい」を、自分で決める選択です。
あなたにも、必ず自分に合う働き方があります。
これからお伝えしたいこと

このブログでは、私の実体験をもとに、転職を考えている看護師さん・転勤族ナース・子育て中のワーママナースに向けて、「一般論の正解」ではなく「あなたに合う働き方を考えるための材料」をお届けしていきます。
遠回りも、失敗も、苦しかったことも、全部あったからこそ、今表面的なきれいごとではなく、現実に根ざした言葉で話せると思っています。
まとめ

転勤族ナースとしての18年間は、「自分に合う働き方を探す旅」でもありました。その旅の中で学んだことを、これからもここで正直にお伝えしていきます。あなたの「働き方シフト」の一歩目に、このブログが役立てれば嬉しいです。
「今の常勤がきついから辞めたい」「でも、どう動けばいいかわからない」と悩んでいる方は、まずはご自身の働き方の「ズレ」を見つけることから始めてみませんか。
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